ベンチャーズ コラム

大企業のオープンイノベーション、CVCにおける重要なポイント

TSIではシード段階のベンチャー支援の一方で、上場企業を中心とする大きな企業の新規事業探索を行っているオープンイノベーションの部門やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の部門とベンチャーとの協業仲介を提案しています。

大組織(大企業)でのオープンイノベーション、CVCには重要なポイントがあります。①社長などの経営トップが責任をもって見るというトップダウン型リーダーシップを発揮すること。 ②新しい提案を社内でかみ砕いてビジネスイメージを説明できる人材を持つこと。 ③大企業の論理をベンチャー企業に持ち込まないこと。④減点主義を持ち込まないこと。 です。

 

  • 社長などの経営トップが責任をもって見るというトップダウン型リーダーシップ
大企業のようなサラリーマン組織では、オープンイノベーションやCVCの案件を検討する場合、既存の事業部門に照会(紹介)して興味の有無や事業性に関しての意見を聞く流れで進めることが多いです。

この場合にNGの場合の理由は「事業部で興味を持たなかった」「事業部のニーズには合わない」と言われるものです。もちろん個々にはさらにNGである具体的理由が存在します。

サラリーマンである担当者はそこでさらに突っ込んだ議論を既存の事業部とできるのか?といことであります。

しかし、経営トップはそこでさらに突っ込んだ問いかけが立場上可能であるということです。もちろん、経営トップが一つ一つの案件に対して細かい議論を行うということは時間的にも物理的にも無理がありますが、少なくともトップがその内容を知っているという後方支援のもとで動かなければ、担当者は「頑張れない」「踏ん張れない」ということです。

 
  • 新しい提案を社内でかみ砕いてビジネスイメージを説明できる人材
どのような会社でも新しいビジネスを探したり見つけたりすることについて興味をもって動く人材は存在し、そのような人材がオープンイノベーションを担当する部署に配置されています。

そのような人材は、社内の経営や事業部門にボールを投げ込むことは得意なのですが、かみ砕いて説明したり、ビジネスモデルをわかりやすく説明したり、社内調整をしたりすることが大変苦手な人種でもあります。

そこでそういうことを説明したり調整したりする人材が必要となります。場合によってはそういうことを一緒にやってくれる外部の伴走人的な人材を活用してもよい可能性もあります。

いずれにしても大きな組織で新しいことを提案する人材は極めて貴重な存在であり、そういう人材の意欲を喪失させないためにもチームとして役割分担できることが必要となります。

 
  • 大企業の論理をベンチャーに持ち込まないこと
大きな組織の場合には、ベンチャー企業との協業特にお金が関係する場合には、関与する事業部、オープンイノベーションを担当する部署、法務部、資金を管理したり決済したりする部署(経理部など)といった複数の部署が関与し、さらに経営会議(常務会)、取締役会などの会議決裁を受けることになります。

このような流れを踏むと、ステップが多い事のみならず様々な意見が飛び交うため、決裁に非常に時間がかかるという一言に尽きます。

一方で、ベンチャー企業というのは事業に対する思いが非常に強く、一点突破主義で研究開発や技術開発を行っており、圧倒的なスピードでなんでも進めています。一方でネットワークやブランド力、資金力が不足しています。

ベンチャー企業との協業では、条件やスピードを大企業の論理に揃えないという考えが重要になります。例えば、顧客、技術、プラットフォームを強制しないということがポイントになります。

 
  • 減点主義を持ち込まないこと
オープンイノベーションの取り組みは失敗がつきものです。成功確率が高ければすべての会社が成長し続けるということになり、それはあり得ないことです。

大企業のサラリーマン社会においては、減点主義型の人事考課制度が依然として深く残っています。これは決して悪いことではなく、既存の事業を行っているところでは顧客に対して間違いのないものを提供する必要があり、どうしても失敗は許されない環境となるからであります。

そこでオープンイノベーションやCVCを担当する部門は既存の人事考課とは切り離し、リスクの高い事にも手を付けることができる(もちろん全社を揺るがすようなほどのリスクを取る必要はありませんが)風土にし、チャレンジをうながす必要があります。

 

もともとオープンイノベーションやCVCを行う場合に、会社の屋台骨を揺るがすようなほどの資金を投下することはあり得ませんので、次世代の人材や事業シーズを育成するというスタンスで失敗してもトップが笑い飛ばして将来の投資を継続することで、成功の芽が出てくるわけです。